「まんじゅう」を洗濯 その3「絞られるまんじゅう」 [短期連載]
そういう訳で野良猫「まんじゅう」は風呂場へと連行された。
代表は猫を飼っていたから慣れたもんだった。
薄めた無添加シャンプーを作り、「まんじゅう」を脚で挟み、左手で優しく押さえつつ右手でシャンプーしていくんだ。
俺も何の役にも立たないが風呂場に見学に行った。
何度拭いても取れなかった首の後ろの汚れにチロっと無添加石鹸を塗ったりもした。
「まんじゅう」は思いのほか静かだった。
暴れまくるんだと思ってた。
断末魔のような悲鳴を上げたりすると思ってた。
「こいつも慣れてるのかシャンプーに!」とさえ感じた。
しかし、良く観察すると「怯えてる」、明らかに様子が変だった。
可哀想に思ったが、仕方ない。
臭い上に、香料を塗ってしまったんだから。
俺が...
すまない、申し訳ない。
良かれと思ってやったんだ。
「まんじゅう」の姿が涙で滲んでいく。
そして、あ~、ちっちゃくなっていく~。
そう、「すすぎ」タイムがやってきたんだ。
暖かいお湯をかけられ、みるみる小さくなっていく。
三分の一。
猫は毛が膨らんでいつもの大きさなんだと初めて知った。
予想以上だった。
洗濯とは「すすぎ」が大切ってことは皆さん承知だろう。
洗剤が汚れを剥がれ易くし、実際に汚れを落とすのは「すすぎ」なのだ。
長年の埃が、汚れが、香料が、今、この瞬間排水溝へと流れていく。
そうして、感動と共に「すすぎ」が終了した。
さー、バスタオルで拭こうと思って代表に手渡そうとした瞬間、俺は我が目を疑った!
代表が「まんじゅう」を絞り始めたんだ!!?
胴体を手刀で。
脚をギュッギュッ!
絞れるではないかー!!
そうか!猫とは動くムームー(ムートンの意)だったのだ!
毛皮だ、毛皮を洗ってるんだ。
ドライアップじゃなくて良かったのか?
エマールもあるぞ。
あ、香料臭いか。
未知との遭遇!!いや、無知との遭遇だった。
きっと犬も絞るんだろうなー。
クマとかももしペットだったら絞るんだろうなー。
大変だろうなー、デカイし、死んだフリしてちゃ駄目だし。
なんて事を考え終え、ふたたび感動と共にバスタオルで包まれる「まんじゅう」。
う~ん、ここまでは無事終了。
第一部完。
次回第二部、「完全に乾くまで外に出せないよ~、風邪引いたらどうするんだ!」に続く。
<写真はシャイニングのように「入れろ~!」と叫びながら入ってきた今朝の「まんじゅう」>
すげーリアルさだな、現場は・・。
カイロの車とか、めちゃくちゃ汚れているらしいぜ、砂埃で。
この国で車はノー戦車でもきれいだぜ。雨降るから。
まんじゅう偉かったな~
by ジョイナス修 (2007-04-28 14:49)
大王)うん、偉かった。
砂漠じゃ洗車に貴重な水を使えないもんね。
やっぱ日本は水の国、感謝。
by kaw (2007-04-28 20:04)