ウナギと源内 クモと龍之介 [郷愁]
明日は土用の丑らしい。
あるわあるわ蒲焼が(in スーパー)
この季節になると俺はいつも想う事がある。
ウナギの数奇な運命の事だ。
ウナギ、俺も子供の頃からの大好物だ。
しかし、昔は今みたいに中国ウナギなんて無かったからもっと高級品だった。
一度、母が何やら変なドンブリを出してきた。
俺はとっさになにか悪巧みを察して訊いた。
「これウナギ?」
「う、うん」
ワンテンポ遅れて母の返事。
食べたら何か変な味がした。
「なんじゃこりゃー!」
「バレたか!アナゴだけどウナギって言えば美味しく食べるかと思って~」
それがトラウマになってなかなかアナゴを食べれなかったんだ。
それが今じゃスシの最後はアナゴで締めるようになるとは...味覚ってのは成長するんだね。
いかーん!いきなりまた脱線した。
つまり、ウナギにしろアナゴにしろ甘辛く仕上げるってことは「結構エグイ」食べ物なんじゃないだろうか?
ある男が江戸に登場するまでは!
そう、平賀源内だ。
エレキテルで有名なヤツだ。
そいつが、まー日本で始めての「キャッチコピーによる成功」を収めたと言われている事柄なんだ。
それが源内による「土用の丑の日にはウナギを食べよう!」だったんだとさ。
この一言が無かったら現在まで江戸時代から何匹のウナギの命が失われずに済んだだろうか?
昨今の中国ウナギの安全性や、シラスの高騰、ヨーロッパウナギの輸出制限等の諸問題は起こらなかったであろう。
罪作りな男やのう、源内さん。
もし地獄があるなら、電気地獄じゃなくて「ウナギ地獄」に送られてる事だろう。
一方、地獄と言えば「クモの糸」by芥川龍之介だろう。
カンダダが主人公の恐怖物?だ。
アレのせいで俺はクモは出来るだけ殺さない。
追いやる。
もしアレを読んでなかったらハエや蚊と同じ扱いをしてきただろう。
俺がそうなんだから、きっと皆小心者は考える事は同じようなもんだろう。
あの作品が、龍之介が、巣くったじゃなくて救った命の数は膨大だと思う。
大正時代からだから、源内に2歩遅れてはいるが殺戮されていったウナギの数を上回っているであろう事は容易に想像できる。(勢い勢い。)
つまりウナギは源内により殺され、クモは龍之介により救われた。
奇妙な事に我々にポジティヴなイメージを植えつけているのは源内の方だが。
ま、自殺したにせよ地獄があったとしても龍之介はクモたちの糸により今頃は天国で「ぼんやりした不安」から開放されていることだろう。
ウナギたちに合掌。
ぽ~ん!!!
羅生門 蜘蛛の糸 杜子春 外十八篇 (文春文庫―現代日本文学館)
- 作者: 芥川 龍之介
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1997/02
- メディア: 文庫
平賀源内―エレキテルをつくった天才発明家 (学習漫画 日本の伝記)
- 作者: 三上 修平
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1988/11
- メディア: 単行本
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